これから始める障害者乗馬!乗馬ができる障害と期待できる改善効果

「障害を持っているけれども馬が好きで乗ってみたい」と思っている方はいませんか?
また、障害をお持ちのお子様がいらっしゃる方で、乗馬をさせようか迷っている方はいませんか?
全国にそのような「障害者乗馬を専門的に扱っているクラブ」があります。
専門的な知識を持ち、経験を積んだインストラクターがレッスンをしていますので、このような乗馬クラブで乗馬を始めてみてはいかがでしょうか?
ここでは、乗馬ができない障害と、乗馬ができる障害について解説します。
この記事の目次
障害者乗馬をするのにかかる費用
これから障害者馬術を始めようとしている方、またはお子さんに通わせてみようと考えている方で気になるのがまず費用の面ですよね。
一般のクラブで障害者乗馬ができるところがありますが、その場合入会金15万程度、月謝15000円程度、騎乗料10,000円程度です。収入が多い人が行くというイメージがありますが、
首都圏では東京障害者乗馬連があり、
入会費24000円、年会費10000円、乗馬会1回6000円くらいです。
騎乗時間が最高30分しかありませんが、東京でこのくらいだと良心的だと思います。
1ヶ月に3~4万円と考えておけば良いでしょう。
全国各地ではRDAJapanという障害者のための団体があり、その活動認定団体(ユニットという)の場合、クラブによって年会費や騎乗料は多少異なりますが、とてもリーズナブルな価格で始めることができるので、まずはお問い合わせしてみてはいかがでしょうか?
乗馬ができない障害
残念ながら、乗馬ができない障害もあります。
- コントロールができない意識障害(てんかん・ナルコレプシー・低血糖症など)
- 急性期の関節炎
- 急性期の多発性硬化症
- 骨粗鬆症
- 重度の脊柱後弯症(せきちゅうこうわんしょう)と脊柱側弯症(せきついそくわんしょう)
国によって乗馬ができない障害は若干違いますが、「馬上から転落する」「乗馬による負荷で病状が悪化する」ことに関して厳しい制限がありますので、乗馬を始めるにあたり問題がないかどうかをあらかじめ主治医や理学療法士に相談しておく必要もあります。
乗馬だけではない馬とのふれあい>
ほとんどの障害者專門の乗馬クラブでは「乗馬だけ」を目的としておらず、乗馬ができない障害者でも参加できる馬とのふれあいによって障害者の運動・精神機能を向上させるための活動を行っていますので、乗馬クラブへ問い合わせてみてはいかがでしょうか。
馬に興味があったら、会いに行くだけでも気持ちは違います。
乗馬ができる障害
上記の障害以外でしたら、ほとんどの方が乗馬をすることができます。
ただ、ヘルメットを被れる方でなければ乗馬はできませんので、帽子が苦手、1時間程度被ることができない方は、乗馬クラブに相談してください。
障害者乗馬は「乗馬を楽しむこと」、また「ライダーの生活の豊かさの向上」と「健康状態を整えること」を重視しており、乗馬をする目的は一人一人異なります。
全員が異なった病状や価値観を持っているので、それに合わせたレッスンを個別に組むことになっています。
「現在の生活で困っていることを相談し、乗馬によってどのように改善していくか」を考えながら、状態に応じて複数のスタッフでサポートしながらレッスンを行います。
一般の乗馬クラブとの違い
海外で乗馬はリハビリとして認識されている国が多くありますが、日本ではまだ定着してないのが現状です。
そして、乗馬を始めたからといって、馬術選手を目指す必要もありません。
他者と競争することが重要なのではなく、「自分の障害に対してどのように向き合いながら乗馬をするのか」ということの方が重要だからです。
この点が一般的な乗馬クラブとの大きな違いです。
また車いす用のスラロープなどの設備が整っていることや、施設全体がバリアフリーであることも違いとしてあります。
障害によっての悩みと期待できる改善効果
障害によってどのようなことに困っているかの例を挙げながら、どのように乗馬を楽しんでいるのかを見てみましょう。
車いすを日常生活で使用している方
股関節が堅くなることで開く角度が狭くなり、また全身の筋肉の付き方がアンバランスになってしまうことで困る方がいます。
乗馬をすることで股関節が自然に動き、徐々に角度が広がっていくことが期待できます。
始めたばかりの時は上体がふらついてしまう可能性が高いですが、姿勢を維持できるようにサポートを受けながらレッスンをします。
充分な筋肉がつくと自分で姿勢を維持できるようになり、健常の方と同じ乗馬のレッスン内容になる方もいます。
希望があればパラ馬術競技への転向も可能ですし、パラリンピックを目指したり、全日本パラ馬術大会・通常の馬術大会も開催されている三木ホースランドパーク主催の全国大会等にもでることができます。
知的障害をお持ちの方
左右の区別がなかなかつきづらく困っている方がいます。
手綱を左右で色違いにし、右に曲がる時は手綱と同じ色のカードを見せることで乗馬のレッスンを行います。
乗馬をしながら輪投げゲームをすることで左右の感覚を持つなど、その方が一番楽しめる乗馬を一緒に考えていきます。
継続的に乗馬をすることで、感情表現が豊かになっていく方もいます。
発達障害をお持ちの方
こだわりが強く、気になることがあると頭から離れなくなることで困っている方がいます。
その日、「馬房の掃除をしたい」と思い頭から離れなくなった場合は、馬房掃除を優先し、その後に乗馬のレッスンを行うこともできます。
障害者乗馬は乗る前のブラッシングや鞍の手入れまで、幅広く対応しています。
馬の手入れはスタッフだけがする、という制限がありません。
始めからひとりで乗馬をすることが可能ですが、特性ゆえに見えない困りごとがあるので、その日の気分に応じた内容でレッスンを行います。
このように個別に困っていることに対応してくれることと、障害の垣根を越えて馬と過ごす1つの手段として乗馬があります。
馬がパートナーとなり、乗馬を楽しむことは健常の方と違う部分が少なく、「もっと上達したい」「馬との関わり方を学びたい」という気持ちになることでしょう。
スタッフだけに支えられるだけではなく、同じクラブで違う障害を持つ同士で助け合うこともあります。
社会的なつながりも増えることも楽しみの1つです。
騎乗するだけではない楽しさ
障害者乗馬は、馬との関わり方を正しく行うことが共通の目標になっています。
騎乗前にブラッシングをして乗馬をすることだけではなく、馬房掃除や馬具の手入れまでをライダーが行う乗馬クラブが多数あります。
馬が自身に多くのことを与えてくれた分、乗馬後に心地よく過ごすことを約束します。
乗馬クラブや馬によっては、乗馬後のシャワーを浴びるまでを一貫して行うこともできます。
障害によってできることとできないことがありますが、自分ができる範囲で馬が快適に過ごす環境を提供することは、とても重要な関わり方だと言えるでしょう。
乗馬も含めて、最終的に目指すところは「馬と気持ちよく、楽しく過ごすこと」です。
乗馬を始めてすぐに上達し、馬場を縦横無尽に乗りこなすことはできません。
乗馬が上達するかどうかは後からついてきますので、まずはパートナーとして一緒に過ごすことから始めてみませんか。
きっと自分の人生になくてはならない存在になります。
また全国には同じように障害者乗馬をしている仲間もいます。
障害の違いはあっても、乗馬を共通の趣味として楽しく過ごすことができることも心強いです。